間食もやめようとして、晩酌もやめようとして——50代の「二正面作戦」はなぜ崩れるのか

体と健康

間食をやめようと決めた日と、晩酌をやめようと決めた日が、ほぼ同じ時期に重なったことがある。

健康診断の結果を見て「さすがにまずいな」と思い、ちょうど妻に「最近ちょっとふっくらしてきたんじゃない?」と言われた週のことだ。両方いっぺんに断てば、体も数値も一気に改善できるんじゃないか——そんな雑な計算をしていた。

結果から言うと、どちらも3日ともたなかった。🍺

同じような経験をしている人、意外と多いんじゃないかと思う。「間食をやめる」と「晩酌をやめる」は、一見シンプルな生活改善に見えて、実はかなり手ごわい習慣と向き合うことなんですよね。今回は、その失敗の記録と、今の自分なりのやり方を正直に書いてみようと思います。


間食もやめようとして、晩酌もやめようとして、どっちも失敗してきた

まず間食を断った。3日で崩れた

最初に手をつけたのは間食だった。晩酌よりとっつきやすそうだったから、というのが正直なところです。

仕事の合間に食べるチョコレート、夕食後のアイス、なんとなく手が伸びる柿の種——こうしたものを「今日から買わない、食べない」と決めた。最初の2日はわりとうまくいった。3日目の夕方、残業続きでヘトヘトになって帰ってきた瞬間に崩れた。コンビニで「今日だけは」とポテチを買っていた。

間食をやめるのが難しいのは、食べたい衝動が「疲れ」や「ストレス」と連動しているからだ。理性で「やめる」と決めていても、体と気持ちが限界のときに「今日だけは許可」が発動してしまう。そしてその翌日から、なし崩しに元に戻る。

じゃあ晩酌だ、と思って始めた禁酒宣言

間食の挫折から1週間後、今度は晩酌をやめることにした。「間食より意志が必要そうだけど、こっちを断てばカロリーも節約もできる」という計算だった。

宣言初日は、帰宅後にお茶を飲んだ。思ったより平気だった。2日目も、なんとか乗り越えた。3日目、妻が「今日ちょっといいものを買ってきたよ」と刺身を広げ始めた瞬間に、もう頭の中でビールが開いていた。

刺身があればビール。これが20年以上かけて体に染みついた条件反射で、それを意志だけで止めるのは思っていた以上にきつかった。

二正面作戦がなぜ機能しないのか、今ならわかる

間食と晩酌を同時にやめようとする試みは、理屈の上では合理的に見える。でも実際には、どちらの我慢も「ストレス耐性」という同じリソースを使っている。

間食を我慢することで、夕方のストレス閾値が下がる。そこに「晩酌も我慢」が加わると、どちらかが爆発する。二正面作戦は、一つひとつの我慢を2倍難しくするだけなんですよね。今思うと、欲張りすぎだったなと思います。


晩酌はなぜ「間食より手ごわい」のか

帰宅後の「プシュ」は、もはや体の一部になっている

間食は、意識すればある程度コントロールできる場面が多い。食べ物が目の前になければ、衝動は少し弱まる。

でも晩酌は違う。帰宅する、玄関を開ける、鞄を置く——このルーティンの先に「プシュ」がある。それが20年分の条件反射になっていると、「飲まない」という選択をするためには毎日意識的に抵抗し続けないといけない。

行動心理学では、こういった習慣を「ハビットループ」と呼ぶらしい。きっかけ(帰宅)→ 行動(飲む)→ 報酬(リラックス)のサイクルが繰り返されることで、脳がその行動を自動化してしまう。意志でやめようとすると、自動化に逆らい続けるという消耗戦になるわけです。

お酒には「ストレス」という最強の言い訳がある

間食をやめられない人が「甘いものを食べないとやってられない」と言うように、晩酌をやめられない人には「仕事のストレス発散がこれしかない」という言い訳がある。

この言い訳が厄介なのは、ある程度事実だからだ。アルコールは短期的に不安を和らげる作用がある。飲んだ瞬間は確かにほっとする。ただ、それは「ストレスが解消された」のではなく「感覚が鈍っただけ」なんですよね。翌朝また疲れが残っていることで、そのことはうっすらわかっているんだけど。

50代の体はアルコールをどう処理しているのか

20代のころと同じ量を飲んでいても、50代の体への負担は全然違う。

アルコールは主に肝臓で分解されるが、50代以降は肝臓の処理能力が落ちてくる。代謝が下がるぶん、同じ量のお酒でも翌朝まで残りやすくなる。さらに、アルコールは睡眠の質を悪化させることがわかっていて、飲んで寝るとレム睡眠が減り、翌日のパフォーマンスが落ちやすい。

「最近、朝がきつくなった」と感じているなら、晩酌の量と無関係ではないかもしれません。🌙


何度も失敗してわかった、再飲酒が起きるパターン

「今日だけは」が許可証になる瞬間

失敗のほとんどは、「今日だけは」から始まる。

これは意志の弱さというより、脳が合理化を得意としているからだと思っている。疲れた日、うれしいことがあった日、落ち込んだ日——「だから今日は特別」という理由を、脳はいくらでも作り出せる。

やめると決めた翌日に「今日は仕事がうまくいったから」で飲んで、その2日後には「今日は最悪な一日だったから」で飲む。どちらの理由も、十分に「特別な日」に見えてしまう。

ノンアルビールという罠(自分の場合)

「ビールの代わりにノンアルを飲めばいい」というアドバイスを試したことがある。最初の数日はうまくいった。でも自分の場合、ノンアルを飲んでいると「本物が飲みたい」という気持ちが余計に強くなった。

これは人によるらしく、ノンアルへの置き換えで上手くいく人もいる。ただ、自分には「お酒っぽいもの」が、本物への欲求を逆に引き出すトリガーになってしまった。炭酸水のほうがまだマシだったかな、と今は思っています。

妻との晩酌タイムという共犯関係

もう一つ、個人的にかなり大きかった要因がある。妻も晩酌が好きで、夕食後に二人でお酒を飲む時間が「夫婦の会話タイム」になっていたんです。

自分だけやめると、その時間に自分だけお茶を飲んでいる。妻が楽しそうに飲んでいる横で。これが思いのほかつらくて、「まあ一杯くらいは」になりやすかった。😅

生活に溶け込んだ習慣というのは、自分一人の問題でなく、周りとの関係の中に埋め込まれていることが多い。そこが難しいんですよね。


健康診断の数値が、ようやく本気にさせてくれた

γ-GTPが97になった日のこと

転機は健康診断だった。γ-GTP(肝臓の機能を示す数値)が97という結果が出たとき、正直、「やばいな」と思った。

γ-GTPの基準値は男性で50以下とされている。97はそれをかなり超えている。医師から「お酒の量、どのくらいですか?」と聞かれて、「毎晩缶ビール2本くらいです」と答えたら、「それが原因でしょうね」とあっさり言われた。

数字として目の前に出てくると、「まあいいか」が通用しなくなる。健康診断ってそういう力があるんですよね。

医者に「このままだと…」と言われた重さ

「このままだと脂肪肝になる可能性があります」という言葉は、それなりに効いた。

肝臓は「沈黙の臓器」と言われる。症状が出るころには、すでにかなり進んでいることが多い。父方の家系に肝臓系の病気が多かったこともあり、「自分は大丈夫」と思える根拠がないことに気づいた。

大丈夫だと思っていたのではなく、気づかないふりをしていただけだったんだと思う。

間食でなく、まず晩酌から、と決めた理由

これを機に、間食と晩酌を同時にやめるのはやめた。まず晩酌から、と絞ることにした。

なぜ晩酌を優先したかというと、単純に影響が大きいから。健康への影響、睡眠への影響、翌朝のパフォーマンス、そしてお金——全部ひっかかってくる。間食は体重に影響するが、晩酌は体重だけじゃなく肝臓・睡眠・代謝すべてに影響する。優先順位をつけるとしたら、こっちだと判断した。


今やっていること——「禁酒」でなく「晩酌を遠ざける設計」

帰宅後の最初の10分をお茶に変える

「晩酌をやめる」という大きな目標より、「帰宅後の最初の10分をお茶にする」という小さな行動変容のほうが、圧倒的に続けやすかった。

帰ってきてすぐにお茶を飲むと、体が少し落ち着く。そこから夕食の準備に入る流れができると、「最初の一杯」のタイミングがずれていく。最初の一杯さえ飲まなければ、その夜は飲まないで済むことが多い。🍵

ハビットループを断ち切るのではなく、最初のトリガーをずらす——これが今のところ一番効いている。

冷蔵庫にビールを買わない、ただそれだけ

もう一つ、単純だけど効果的だったのが「そもそも家にビールを置かない」こと。

飲もうと思えばコンビニに買いに行けばいい。でも、それが地味に面倒くさい。帰宅後の疲れた状態で「わざわざ買いに行く」という手間を入れると、「まあいいか」が「飲まなくていいか」に変わりやすい。

意志の力に頼るのではなく、「飲む」という選択に摩擦を増やす発想のほうが長続きする気がしています。

月1万円以上浮いた話と、その使い道

晩酌を週に4〜5回から週1回以下に減らしたところ、月の酒代がかなり変わった。それまで缶ビール2本+つまみで毎晩かかっていたコストを計算すると、月に1万2,000円〜1万5,000円くらい使っていたことになる。

今は月3,000円以下。差額の1万円以上が浮いている。💰

その分を、妻と月1回の外食に使うようにした。「家でしんみり飲む」より「たまに外で一緒においしいものを食べる」ほうが、二人ともずっと満足度が高い。晩酌代って、けっこうな金額になるんですよね、今更ながら。


まだ完全にはやめられていないけれど

週に1〜2回飲んでしまう正直なところ

完全に断酒できているわけではない。週に1〜2回、飲んでいる。

外食のときや、妻が「今日は特別なものを買ってきた」という日は、一緒に飲む。「一切飲まない」という目標にしていたころより、今のほうがずっと長続きしている。完璧を目指すより、少し緩めたほうが続くというのは、間食も晩酌も同じだと感じています。

間食と晩酌、どちらを先に攻めるかは人によって違う

自分は晩酌を先に減らしたが、正直どちらが先かは人によると思っています。

大事なのは、二正面作戦にしないこと。どちらか一つに絞って、そこが安定してきてから次に移る——それだけで、挫折の確率はかなり下がる気がしています。

「やめる」より「整える」という考え方に変えた

「晩酌をやめる」というより、「晩酌との関係を整える」という言い方に変えてから、少し楽になった。

やめるは0か1かの話で、失敗した瞬間に挫折感が来る。整えるは、グラデーションの話で、今日飲んでしまっても「まあ、ちょっとバランス崩れたな」くらいで済む。

50代の体のことを考えると、毎晩飲み続けるのは明らかにきつい。かといって、完全に断つのも自分の生活スタイルには合っていない。その間のどこかに、自分なりの「ちょうどいい」を探している途中です。

まだ答えは出ていないけれど、γ-GTPは半年後の検査で61まで下がりました。少しずつ、整ってきているのかもしれないですね。


次回は、50代の「睡眠の質」についてリアルに書こうと思っています。 晩酌を減らしてから寝つきがどう変わったか、そのあたりも含めて。

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