「最近、なんかお酒が変わった気がする」と感じ始めたのは、50代に入ってすぐのことでした
最初は、気のせいだと思っていました。
いつもどおり缶ビールを2本飲んで、少し焼酎を足して。それだけなのに、翌朝の体が妙にだるい。頭がぼんやりするというか、シャワーを浴びても気持ちがしゃっきりしないというか。「二日酔いっていうほどじゃないけど……なんか重い」という感覚が続くようになったんです。
40代の頃は、それくらいじゃなんともなかった。だから、最初は「仕事が忙しいから疲れているだけ」と思っていました。でも、休みの日に飲んだ翌朝も同じ感覚が続いて、さすがに「あ、これは体が変わったんだな」と気づき始めたんですね。
翌朝の体が正直すぎる。同じビール2本なのに、なぜこんなにしんどいのか
50代に入ってから、こういう話を同世代の知り合いとすると「わかる、わかる」とよく言われます。同じ量を飲んでいるはずなのに、翌朝の体への残り方が違う。疲れとお酒のだるさが混ざって、なんとも言えない重さが続く。
これには理由があります。年齢とともに、肝臓のアルコール処理能力が落ちてくるんです。若い頃は代謝が速いので「飲んで寝たら次の朝にはスッキリ」が成立していた。でも50代になると、アルコールを分解・排泄するまでにかかる時間が長くなる。だから翌朝になっても体の中にアルコールの影響が残っているんです。
しかも厄介なのは、自分では「これくらい飲める」という感覚がそのままだということ。体の処理能力は落ちているのに、感覚だけが昔のまま残っている。そのズレが、翌朝の「なんか重い」に出てくるんだと思います。
健診でγ-GTPの数値が引っかかった夜のこと
50代の体の変化を、もっとはっきり突きつけられたのは健康診断の結果でした。
毎年、会社の健診でγ-GTP(ガンマ・ジーティーピー)という数値を見ます。肝臓の状態を示す数値で、基準値は50以下。それが、ある年の健診で初めて「要注意」の欄に入っていました。数値は74。
その夜、封筒を開けてしばらくそのまま固まっていました(笑)。「いよいよか」という感じ。お酒を飲みすぎると上がる数値だと知っていたので、ごまかしようがなかったんです。
「禁酒しないといけないのか」とも思いました。でも正直なところ、それだけが答えとも思えなくて。妻には「さすがに少し減らした方がいいんじゃない?」と言われ、私も内心そうは思いながら、どうするかをしばらく考えることになりました。
50代の体でアルコールに何が起きているのか——仕組みを知ったら、少し腑に落ちた
「どうするか」を考えるにあたって、まず体の中で何が起きているのかを少し調べました。なんとなく飲む量を減らすより、仕組みを知った方が動きやすい気がして。
肝臓の処理能力が落ちているのに、感覚はそのままだという矛盾
アルコールは、胃と小腸で吸収された後、ほぼ全量が肝臓で処理されます。肝臓がアルコールを分解する速さは、体重60kgの成人で純アルコール換算で1時間あたり約7〜10g程度。缶ビール(500ml、アルコール5%)1本分の純アルコールは約20gなので、処理に2〜3時間かかる計算になります。
50代になると、この処理速度が落ちてきます。それだけではなく、体内の水分量が減ることで血中のアルコール濃度が上がりやすくなる。若い頃より少ない量でも、血中濃度が高くなりやすいんです。
なのに、感覚だけはアップデートされていない。これが問題で、「いつもと同じくらい飲んだ」という感覚が、実は体への負担としてはそれ以上になっているということなんですね。
「お酒に強くなった」は慣れではなく、麻痺かもしれない
もうひとつ知って驚いたのが、「酒に強くなった」という感覚についてです。
長年飲み続けていると、同じ量では酔いにくくなる。これ、単純に「鍛えられた」わけではないんです。体がアルコールに慣れて、酔いの感覚が麻痺してくるということらしい。満足感を得るために、気づかないうちに量が増えていく——そういうループになりやすいと聞いて、ちょっとぞっとしました。
「飲んでも全然平気」という人が、実は肝臓に相当な負担をかけている、ということが起きやすいのが50代なんですね。
「禁酒が正解」だとわかっていても、それだけが答えじゃない気もした
健診の結果を受けて、「お酒をやめるべきだ」という答えは頭の中にありました。でも、そこに踏み切れなかったのも正直なところです。
ゼロかイチかではなく、「量を減らして飲み続ける」という第三の選択肢
禁酒か、このまま飲み続けるか。その二択で考えると、どちらかに決め切れなくて動けなくなる。でも「もう少し減らして、飲み方を整える」という選択肢があることに気づいたとき、少し楽になりました。
完全にやめることが難しいなら、まず体への負担を減らすことを考える。それは「諦め」じゃなくて、現実的な一歩だと思うことにしたんです。
やめようとして失敗した話。禁酒とダイエットの二正面作戦は崩れる
実は一時期、禁酒とダイエットを同時にやろうとして、見事に崩れたことがあります。「間食もやめて、晩酌もやめて」という二正面作戦は、どちらも続かなかった(苦笑)。制約が多すぎると、どこかでストレスが爆発する。我慢が積み重なった夜に、缶ビールを3本空けていたことがありました。
反省として思ったのは、「ゼロにする」より「整える」方が、少なくとも自分には合っているということ。完全禁酒を目指してまた失敗するより、現実の自分に合った飲み方を探す方が、長続きするんじゃないかと。
私が実際に試した「飲み方の見直し」——量・タイミング・種類の話
実際に何を変えたのか、具体的に書いておきます。劇的なことは何もしていませんが、地味な変化がいくつかありました。
缶ビールの本数を2本から1本に。その代わり「飲む時間帯」を変えた
まず量。以前は夕食中から2本、食後にもう少し、という飲み方でした。それを、夕食中の1本に絞ることにしました。
ただ、単純に「1本にする」だけでは物足りない気持ちが残って続かなかったので、飲む時間帯も変えました。夕食を早めに終えて、食後30分後に1本だけゆっくり飲む。ちょっとした「ご褒美時間」にする感覚で。食事中に流れで飲むより、意識的に飲む感じになりました。
これが意外とよかったんです。「飲んだ」という満足感が、量に関係なく「時間」と「意識」で変わる気がして。
純アルコール量を意識したら、飲み方の意味が少し変わった
調べていて知ったのが、純アルコール量の計算です。
お酒の種類によってアルコール度数が違うので、「何杯飲んだか」より「純アルコール何グラム飲んだか」の方が体への影響を正確に把握できる。厚生労働省が示している「節度ある飲酒」の目安は、1日あたり純アルコール約20gです。
缶ビール(500ml、5%)で約20g、日本酒1合(180ml、15%)で約22g、チューハイ(350ml、7%)で約20g。この数字を知ってから、「今日は何グラムかな」と意識するようになりました。
完璧には守れていませんが、頭の片隅にある分、「もう1本」の前にちょっと立ち止まれるようになった気はします。
飲む日と飲まない日をざっくり分けてみた(休肝日とは少し違う感覚)
「休肝日」というと、なんだか義務感があって続かないタイプです(笑)。なのでそれより少し緩い感じで、「今日はなんとなく飲まなくていい気がする」という日を大事にするようにしました。
週に2〜3日、飲まない日があればいい、くらいの感覚で。厳密に決めすぎず、その日の体調や気分に任せる。これだと「守れなかった」という罪悪感が出にくくて、続きやすかったです。
見直してから変わったこと・変わらなかったこと——正直なところ
「整えた」と書くとなんとなく劇的な変化があったように読めるかもしれませんが、正直なところを書いておきます。🙄
睡眠が少し変わった。でも劇的じゃなかった
飲む量を減らしてから、夜中に目が覚める頻度が減った気がします。以前は夜中の2時〜3時にトイレで起きることが多かった。量を減らしてからは、それが週1〜2回くらいになりました。
「劇的に眠れるようになった!」とは言えませんが、朝の目覚めがほんの少し軽い感じはあります。アルコールには睡眠を浅くする作用があるので、量が減ると睡眠の質が上がる方向には動くらしいんですね。
「少し変わった」くらいが正直なところです。
体重への影響は?γ-GTPの数値はどうなったか
体重は、3か月で1.5kgほど落ちました。お酒のカロリー分が減った効果だと思います。おつまみも自然と減ったのが大きいかもしれない。
そして次の年の健診でのγ-GTP。74だったのが、58になりました。まだ基準値の50は超えているので引き続き注意は必要ですが、「下がった」という変化があったのは正直ほっとしました。
変わらなかったこととして言えば、「飲みたい」という気持ち自体は変わっていません(笑)。夕方になると「今日は1本飲もう」と思う習慣は健在です。完全になくなることはないんでしょうね、たぶん。
「飲むな」ではなく「どう飲むか」を考えるようになった50代
半年ほど試してみて感じるのは、「やめる」か「続ける」かの二択より、「どう付き合うか」を考えることの方が、自分には合っているということです。🍺
お酒が「習慣」から「選択」になった感覚
以前の晩酌は、「帰ったらビールを開ける」という自動的な流れでした。考えてやっていたというより、習慣として動いていた感じ。それが今は、「今日は飲む?どれくらい?」と少し意識するようになりました。
飲む量が減ったことよりも、この「意識できるようになった」という変化の方が、自分の中では大きいかもしれません。
お酒との関係を整えることは、生活全体を整えることと似ている
体重も、睡眠も、運動も、禁酒も——50代になっていろんな「見直し」を同時にやろうとすると、たいてい全部崩れます。でも一つだけ、小さく整えてみると、それが少しずつ他のことにも波及してくる感じがあります。
お酒の量を少し減らしただけで、おつまみも減って、夜の食事が少し軽くなって、翌朝のだるさが和らいで……という連鎖です。全部完璧に変える必要はなくて、一箇所だけ「ちょっと整える」だけで、生活がわずかに動いていくんだな、と感じています。
完璧に禁酒できなくても、いつもより少し飲む量が減れば、それで十分なのかもしれません。少なくとも私には、そのくらいの「ゆるさ」の方が長続きするようです。
あなたは今、お酒との付き合い方をどう考えていますか? ✦
こんな記事も書いています
次回は、50代の外食との付き合い方——食べる量・塩分・コスト、全部見直してわかったことについて書こうと思います。


コメント