「もう歳だから…」なんて思いながらも、どこかで山が気になっている。そんなあなたへ。
実は、50代は登山を始めるのに悪くない年齢なんです。むしろ、時間の使い方を自分でコントロールできるようになってきた今こそ、はじめどきかもしれません。
ただ、正直に言うと、20代の頃と同じ感覚でスタートするとかなり痛い目に合います。私の知人は「学生時代に山岳部だったから大丈夫」と意気込んで高尾山に登り、翌日の筋肉痛で3日間ソファから動けなかったと苦笑いしていました。
この記事では、50代ならではの体の変化を踏まえたうえで、失敗なく山を楽しみ続けるための始め方をお伝えします。
<a id=”reality”></a>50代でも登山は十分できる?まず知っておくべき現実
「登山=若者のスポーツ」というイメージがありますよね?でも、実際に山に行くとわかりますが、平日の低山は50〜60代の方が主役みたいなものです。
山と溪谷オンラインの運動生理学データによると、体力のピークは20代で、その後10歳ごとに約5〜10%ずつ低下していきます。50代になると、筋力・持久力・バランス感覚すべてが30代のころより落ちている、というわけです。
「そんなこと言われなくてもわかってる」って感じですよね。大事なのはその先で、この「低下」を理解して計画を立てれば、問題なく登山を楽しめるということなんですよ。
実際、60代から登山を始めて日本百名山を制覇した方もたくさんいます。日経xwomanの記事で紹介されていた女性も、50代でコロナ禍をきっかけに高尾山からスタートし、気がつけば雲取山まで歩いていたそうです。
50代登山の最大の落とし穴:過去の自分との比較
ここが肝心ですね。特に危ないのは、「昔は運動してたから」という方。10年前のブランクがある人ほど、体は正直です。
まず、近所の階段を10階分のぼってみてください。翌日の筋肉痛具合が、今のあなたの体力指標になります。息切れの感じ、足の疲れ具合…これが「今の自分の出発点」なんですね。
<a id=”mountain”></a>最初の山選び:失敗しない3つの基準
「どの山から始めればいいかわからない」という声をよく聞きます。答えはシンプルです。
①標高差が300〜500m程度
②コースタイムが往復3〜4時間程度
③整備されたルートで迷いにくい
この3つを満たせばどこでも構いません。
具体的には、高尾山(東京)、金華山(岐阜)、六甲山ハイキングコース(兵庫)、大文字山(京都)などが定番です。有名すぎて拍子抜けするかもしれませんが、初回はここで十分です。
実は私、最初に「初心者向け」と書いてあったルートを選んだのに、下山途中でガクガクと膝が笑い始めて、最後の30分がものすごく情けない歩き方になってしまいました。見た目はなだらかでも、積み重なった疲労は想像以上なんです。コースタイムの1.3〜1.5倍を想定して計画するくらいがちょうどいいですよ。
絶対に避けたい「初回NG山」の選び方
距離よりも高低差と路面状況が重要です。距離が短くても、岩場や急傾斜が連続するルートは初回には向きません。
また、「紅葉シーズンの混雑した有名山」も実は初心者には不向きです。混雑すると自分のペースで歩けず、無理に早歩きになって疲れが増します。
<a id=”gear”></a>50代が揃えるべき最低限の装備
「お金がかかりそう」と思うかもしれませんが、最初からすべて揃える必要はありません。ただ、ケチっていい場所とそうでない場所は明確に分かれます。
絶対にケチってはいけない3点
1. 登山靴(最優先)
これはもう、妥協しないでください。足首をしっかり固定するミドルカットかハイカットの登山靴が必須です。専門店で実際に履いて確かめましょう。目安は8,000〜20,000円程度。スポーツ用のトレッキングシューズとは別物で、機能性がまるで違います。
私はケチってスニーカーで2回登り、3回目に下山中に足首をひねりかけて以来、ちゃんとした靴の大切さを骨身にしみて理解しました。あの「グキッ」という感覚は今でも忘れられないです。
2. レインウェア(三種の神器のひとつ)
山の天気は変わりやすい。晴れ予報でも急変することがあります。コンビニのビニールカッパでは、濡れた冷風で体温がどんどん奪われます。ゴアテックスなど防水透湿性の素材が理想です。
3. 速乾性のインナー(ウールかポリエステル)
綿のTシャツだけは避けてください。汗で濡れたまま風に当たると、夏でも体が冷えます。ユニクロのドライEXや、モンベルのジオラインなどが使いやすいですよ。
始めはコスパ重視でOKなもの
- ズボン:ワークマンのトレッキングパンツ(1,900〜3,000円)で十分スタートできます
- リュック:20〜25Lのハイキング用バッグで初めは問題なし
- ストック(トレッキングポール):膝への負担を劇的に減らせるため、膝に不安がある方には早めに導入をおすすめします
使っておくべきアプリ「YAMAP」
スマホにYAMAPを入れておきましょう。月に1つ無料で山の地図をダウンロードでき、GPS機能でリアルタイムに自分の位置がわかります。道迷い防止に非常に役立ちますよ。
<a id=”howto”></a>体を壊さない「50代式」山の歩き方
ここが競合記事に最も書かれていなかった部分なんですね。道具の話よりも、歩き方こそが50代の登山を左右します。
ペースは「ゆっくり過ぎるくらい」がちょうどいい
登山中の強度は、ジョギングと同レベルの「7メッツ」という強さだというデータがあります。体感よりかなり激しい運動なんですよ。
息が切れない程度のペースを保つこと。隣の人と話しながら歩けるくらいが目安です。これが「会話テスト」と呼ばれる基準です。
登り始めは特にゆっくり。「なんか物足りないな」と感じるくらいのスピードが50代にはちょうどいいです。どうしても最初は周りのペースに引っ張られてしまいますが、惑わされないでください。
「下り」こそが50代最大の難関
上りの疲れが出てくる下りは、膝への衝撃が登りの2〜4倍にもなります。体重60kgの方なら、一歩ごとに180〜240kgもの荷重が膝にかかる計算なんですね。
下りで気をつけたいのは3点:
| やりがちなNG | 正しいやり方 |
|---|---|
| 大股で早く下る | 小股で、ゆっくり |
| 膝を伸ばしたまま着地 | 膝を軽く曲げてクッションに |
| つま先から着地 | 足裏全体でフラットに |
特に、疲れてくると無意識に大股で飛び下りるような動きになってきます。「あ、雑になってきたな」と気づいたら、意識的に小股に戻す。この繰り返しが膝を守る鉄則です。
休憩のコツ:5分以内がベスト
意外に思われるかもしれませんが、山での休憩は5分以内が理想です。それ以上休むと筋肉が冷えて乳酸が溜まり始め、むしろ再スタートが辛くなります。
長い休憩を1回とるより、短い休憩を複数回とるほうが疲労感が少ないんですよ。行動食(チョコやナッツ、あんパンなど)を食べながら短く休む、というリズムが50代には合っています。
<a id=”care”></a>登山前後のケアで膝を守る方法
登山が続かない最大の理由は「膝を痛める」こと。中高年登山者の約45%が膝痛を経験しているというアンケートデータもあります。でも、適切なケアをすればかなり防げます。
登山前のウォームアップ(5〜10分)
- 太もも前面(大腿四頭筋)のストレッチ:立ったまま片足を後ろに引き、かかとをお尻に近づけて15〜20秒キープ
- ふくらはぎのストレッチ:壁に手をついて、片足を後ろに引いてかかとを床につけたまま伸ばす
- 軽いウォーキング:駐車場から登山口までの道をゆっくり歩くだけでもウォームアップになります
冷えた状態の筋肉は、急な負荷への対応力が格段に落ちます。「準備運動なんてもう何年もしてないよ」という方こそ、山ではやってみてください。
登山後のクールダウンが翌日を変える
下山後、足が疲れ果てていても5分だけ時間を作ってほしいのがクールダウンのストレッチです。筋肉が温まっている下山直後がいちばん効果的なんですよ。
太もも前後、ふくらはぎを各20〜30秒。これをやるかやらないかで、翌日の疲労感が体感で全然違います。
体重管理も実は重要
少し耳が痛い話ですが、体重が1kg増えると膝への負担は約3kg増えるといわれています。つまり5kg増えていると、下りで15kgの余計な荷物を背負っているのと同じこと。
登山のためのダイエットというより、登山を続けることで体重が落ちていく、という好循環を作るイメージです。実際、山を始めてから自然と食生活が整ってきたという方は多いんですよ。
<a id=”circle”></a>一人が不安なら登山サークルという選択肢
「一人は心細い」「仲間がいない」という声もよく聞きます。
50代の初心者が増えているいま、それに合わせた登山サークルも増えています。特に以下の点でサークルは心強いです。
- 経験者にルート選びや装備のアドバイスをもらえる
- 万が一のトラブルの際に助け合える
- 一人では絶対に行かない山に行けるようになる
探し方は「(地域名) 登山サークル 50代」で検索するか、YAMAPの「活動日記」から地元の山を歩いている方に声をかけてみる方法もあります。
ただ、サークルは合う・合わないがあるんですよね。ペースが合わない、雰囲気が合わない…という経験をした方も少なくありません。最初は1〜2回のゲスト参加ができるサークルを選ぶとリスクが低いです。
最近は「登山ツアー」も充実していて、ガイド付きで安全に楽しめるプランが増えています。初回の山を「ツアーで経験する」というのも、安心感という意味で非常にいい選択肢ですよ。
<a id=”summary”></a>まとめ:50代登山は「焦らない」が最大の戦略
ここまで読んでくださった方に、最後に一番伝えたいことをまとめます。
50代からの登山で大切なのは、次の山に行けるように今日の山を終えること。
山頂を踏めなくても、途中で引き返しても、それは失敗じゃない。また来られる状態で下山できたなら、それが成功です。
50代登山スタートの5ステップ
- まず近所の階段で体力確認(10階分登って翌日の疲労度をチェック)
- 最初の1足だけ登山靴に投資する(専門店で試し履き必須)
- 標高差300〜500m、コースタイム3〜4時間の低山を選ぶ
- YAMAPをインストールして地図を準備
- 天気の良い春か秋に、ゆっくりしたペースで初登山
「体力がない」「準備が完璧じゃない」と言っていると永遠に山には行けないです。100点の準備は必要ありません。60点の準備で低山から始めて、経験を積みながら少しずつアップグレードしていけばいい。
山は逃げませんから。焦らず、ゆっくり、でも確実に一歩を踏み出してみてください。最初の山頂から見える景色は、きっと今まで見たことのない絶景です。
この記事があなたの「はじめの一歩」のヒントになれば、これ以上うれしいことはありません。


コメント