この記事を読むとわかること: 再雇用制度の具体的なデメリット7つ/給与がどこまで下がるかの実数値/2025年以降に変わる給付金の話/50代のうちに動ける具体的な対策
「定年まであと数年……再雇用で働き続けるしかないのかな」と感じている50代の方、多いのではないでしょうか。
正直に言うと、再雇用制度には知っておかないと損する落とし穴がいくつもあります。「なんとなく続ける」ことを選んでから後悔した——そんな声を、この数年で本当によく耳にするようになりました。
この記事では、再雇用制度のデメリットを数字と体験ベースで7つ解説したうえで、「それでも再雇用を選ぶべきか」「50代のうちにできることは何か」を具体的にお伝えします。定年まで5年以上ある方にも、来年60歳を迎える方にも、ぜひ最後まで読んでほしい内容です。
そもそも再雇用制度とは?基礎だけ押さえる
まず軽く整理しておきましょう。
再雇用制度とは、60歳で定年退職した従業員が、同じ会社と新たな雇用契約を結び直して働き続ける制度です。高年齢者雇用安定法により、企業は希望する従業員を65歳まで雇用し続ける義務があります。
ポイントは「新たに契約を結び直す」という点。定年前の雇用契約はいったん終了し、給与・役職・働き方のすべてが「リセット」されます。これが後述するデメリットの根本的な原因になっているわけです。
なお、似た制度に勤務延長制度があります。こちらは定年退職の手続きを取らずにそのまま雇用を続けるもので、給与や役職が変わらないケースも多い。ただし、勤務延長制度を導入している企業は少なく、大多数の会社は再雇用制度のみです。
「え、その違いって大事なの?」と思った方——はい、非常に大事なんですね。この違いを知らずに60歳を迎えると、「え、こんなに変わるの!?」という衝撃を受けることになります。
再雇用の7つのデメリット【本音で解説】
① 給与が「7割以下」になるのが普通
再雇用後の給与について、厚生労働省のデータをそのまま引用するとこうなります。
定年前(60歳直前)の賃金を100とした場合:
| 対象者 | 61歳時点の賃金水準 |
|---|---|
| 平均的な給与水準の人 | 78.7 |
| 最も高い給与水準の人 | 89.6 |
| 最も低い給与水準の人 | 70.8 |
出典:厚生労働省「高年齢者雇用の現状等について」
平均でも約2割カットです。しかも、これは「正社員として再雇用された場合」の数字。嘱託や契約社員として再雇用される場合は、さらに下がることも珍しくありません。
実際の声として、こんなケースがあります。定年直前の年収が700万円だった製造業の管理職が、再雇用後に嘱託社員となり、年収が380万円になった。ボーナスも廃止され、手取りベースでは**実質「半分以下」**という体感だったと言います。
「まさかここまで下がるとは思っていなかった」——これが多くの方の正直な感想なんですね。事前にシミュレーションしておくことが本当に大切です。
② 2025年から「給付金」も縮小。ダブルパンチが来る
実は再雇用の経済的な話には、もう一つ重要な変化があります。
給与が下がった人を支援する「高年齢雇用継続給付金」という制度があります。60歳時点の賃金の75%未満に給与が下がった場合、毎月の賃金の最大**15%**が支給されていた制度です。
ところが、2025年4月から給付上限が15%→10%に縮小されました。さらに将来的には廃止の方向で検討されているとのこと。
具体的な影響を試算してみましょう。
- 定年前の月収: 50万円
- 再雇用後の月収: 32万円(36%ダウン)
- 旧制度の給付: 32万円 × 最大15% = 最大4.8万円/月
- 新制度の給付: 32万円 × 最大10% = 最大3.2万円/月
差額は月1.6万円、年間にすると約19万円の手取り減です。給与カットに加えてこの制度縮小が重なると、年収ベースで100万円以上の落差が生まれる人も出てきます。
「なんで今まで誰も教えてくれなかったんだ」——そう感じた方、気持ちは十分わかります。でも知った今から動けば、対策は取れますよ。
③ 「同じ仕事・半分の給与」という理不尽感
再雇用後の仕事内容について、ある調査を見てみましょう。
- 定年前と全く同じ仕事:44.2%の企業
- 定年前と同じだが責任が軽くなる:38.4%の企業
- 全く異なる仕事:わずか6.1%
出典:労働政策研究・研修機構「高年齢者の雇用に関する調査(2019年)」
つまり、約8割の人が「やっていることはほぼ同じ」なのに、給与だけ大きく下がるという状況に置かれるわけです。
これが精神的にきつい。毎朝同じ電車に乗り、同じデスクに座り、同じ仕事をこなしながら、給与明細だけが別世界の数字になっている。私がこの話を聞いたとき、「それはモチベーションが保てないな……」と率直に感じました。
ただし「同一労働同一賃金」の原則から、業務内容が変わらないのに大幅な賃金カットをすると違法となる可能性もあります。定年前後で業務内容がほぼ同じなのに給与が半分以下になった場合は、法的な観点から会社に確認する権利があります。
④ 元部下が「上司」になる現実
これが再雇用で最も語られる「精神的デメリット」の一つですね。
再雇用後は、それまで自分が指導していた部下が自分の上司になるケースが生まれます。会議で意見を求められることも減り、情報が回ってこなくなる。そんな「見えない疎外感」を体験する方が少なくないわけです。
あるサービス業の人事部長がこんなことを話しています。「元の部署に残ると人間関係ができているから気も遣ってもらえる。でも別の部署に移ると悲惨で、若い社員と全く同じように使われる。デジタル機器を使えずに『いらない』と言われ、1年で異動になった人もいる」と。
プライドが高い人ほど、この変化は辛いでしょう。でも「プライドを捨てて働く訓練」だと割り切れた人は、むしろ人間関係がフラットになって楽になったという声も聞きます。どう受け取るか、心の準備次第でもあるんですね。
⑤ 雇用形態が「1年契約」になる不安定さ
再雇用後は原則として1年間の有期雇用契約になります。65歳までは更新が続くケースがほとんどですが、あくまでも「1年ごとの更新」という形式であることには変わりません。
この「更新されるかどうかわからない」という不安感は、じわじわと精神的なストレスになっていきます。「今年は更新されたけど来年は……」と考え始めると、上司の顔色を伺うようになる。30年以上勤めてきたベテランが、急に「お試し採用」のような立場になるわけですから、当然といえば当然かもしれません。
また、65歳で再雇用が終了した後は、さらに厳しい状況が待っています。65歳以降の求人は非常に少なく、再度の転職活動はかなり難しくなるのが実情です。
⑥ 社会保険・税金の「落とし穴」
あまり語られないデメリットの一つが、社会保険と税金の問題です。
再雇用後も一定以上の給与があれば社会保険への加入は続きます。ただし、収入が下がった状態で「在職老齢年金制度」との兼ね合いが生まれる場合があります。
在職老齢年金とは、一定額以上の賃金と年金の合計が基準額を超えると年金が一部または全部カットされる制度です。2023年の改正で基準額は引き上げられましたが、それでも高収入だった人ほど影響を受ける可能性があります。
「給与は下がったのに年金まで減る」というパターンに陥らないよう、60歳になる前にファイナンシャルプランナーに試算してもらうことを強くおすすめしたいです。思っていたより複雑な計算が必要で、私も初めて詳しく調べたとき「え、こんな制度があったの」と驚いた記憶があります。
⑦ 「働きがい」が静かに消えていく問題
最後のデメリットは、数字では見えにくい部分です。
再雇用後に「働きがいを失った」と感じる人は、実は非常に多い。給与や立場の変化だけでなく、「もう昇進はない」「新しいプロジェクトを任されることもない」という成長機会の喪失が、長期的なモチベーションに影響します。
「毎日会社に行くのに理由が見つからなくなった」——そう語る60代の方の話を聞いたとき、胸に刺さるものがありました。30年以上、会社のために頑張ってきた人が、その「意味」を失ってしまう。これは経済的な問題よりも、もしかすると深刻かもしれません。
ただ、一方でこんな声もあります。「責任が減ったぶん、定時で帰れるようになって、趣味に時間が使えるようになった。逆に自由で最高です」という人も実際にいる。この「落差の受け取り方の違い」が、再雇用後の満足度に直結しているわけです。
再雇用を選ぶ「3つのメリット」も見ておく
デメリットばかり並べましたが、フェアに見るためにメリットも整理しておきましょう。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 仕事探しが不要 | 60歳から転職活動をするよりはるかに労力が少ない |
| 慣れた環境で続けられる | 仕事・通勤・人間関係をゼロから作り直さなくていい |
| 雇用保険・社会保険が継続 | 収入が安定し、健康保険も維持できる |
特に「転職活動の辛さ」は50代以降には相当な壁です。55歳〜59歳の転職で賃金が増加した人は全体の約20.5%しかおらず、約48.8%は賃金が減少しているというデータもあります。「どこかに再就職しても結果は同じかそれ以下」という可能性は十分あるわけです。
だからこそ、再雇用を「ただなんとなく続ける」のではなく、条件を交渉したうえで戦略的に選ぶことが大事なんです。
50代のうちにできる「5つの具体的な対策」
では実際に何をすればいいのか。定年まで時間がある方ほど、今から動けるアクションがたくさんあります。
対策1:自社の再雇用条件を事前に確認する
「定年後の条件なんて当日まで知らなかった」という人が驚くほど多い。人事部や先輩社員に聞けば、おおよその給与水準や雇用形態が分かります。知ることで、心の準備と比較検討ができるようになります。
対策2:「副業・兼業」を今のうちに試す
会社員のうちから副業を始めておくのは、再雇用後の収入補填だけでなく「働きがいの多様化」にも効きます。定年後に突然副業を始めようとしてもノウハウも人脈もゼロ。今から月2〜3万円でも副収入の軸を作れると、将来の選択肢が広がります。
対策3:専門スキルや資格を取っておく
定年後も「この人にしか頼めない」という専門性があると、交渉力が格段に上がります。特に**業務独占資格(その資格がないと仕事ができない資格)**は強い武器になります。社労士・中小企業診断士・ファイナンシャルプランナーなどは50代から取得を目指せる実用的な資格です。
対策4:ファイナンシャルプランナーに試算してもらう
「再雇用後の年収 + 年金 + 給付金」のシミュレーションは、一人でやると見落としが多い。特に在職老齢年金の計算は複雑で、独学では間違いやすいです。定年の2〜3年前には一度プロに相談しておくことをおすすめします。費用は1〜2万円程度が多く、得られる情報量を考えるとコスパは高い。
対策5:「再雇用の条件交渉」を知っておく
意外と知られていないのですが、再雇用時の条件は一定の範囲で交渉できます。特に業務内容が定年前とほぼ同じ場合、大幅な減給は同一労働同一賃金の観点から法的に問題になりえます。「会社が提示した条件がすべて」ではないと知っておくだけで、交渉の入り口が見えてきます。
再雇用を断った場合の選択肢
「いっそ再雇用しないで別の道を探したい」という方向けに、選択肢も整理しておきます。
| 選択肢 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 転職(再就職) | 新環境・新収入のチャンス | 50代後半は求人少。収入ダウンのリスクあり |
| フリーランス・独立 | 自由度が高い | 収入不安定。社会保険の自己負担が増える |
| 社会貢献・NPO活動 | やりがい優先の働き方 | 収入は期待しにくい |
| 完全リタイア | 時間の自由を最大化 | 貯蓄・年金が十分でないとリスク大 |
50代前半(〜55歳まで)はまだ転職市場での需要がある時期です。55歳を超えると選択肢が急激に狭まっていくというデータもあります。「再雇用以外を考えたい」なら、早めに動くほど可能性は広がるわけです。
まとめ:「なんとなく再雇用」だけはやめよう
再雇用制度の7つのデメリットを振り返ると、こんな感じです。
- 給与が定年前の7割以下になる(平均78.7%)
- 2025年以降、高年齢雇用継続給付金が縮小される
- 「同じ仕事・半分の給与」という理不尽感
- 元部下が上司になる人間関係の変化
- 1年契約の不安定な雇用形態
- 在職老齢年金との兼ね合いで収入が想定外に減る可能性
- 働きがい・成長機会の喪失
これだけ並べると「再雇用なんてやめた方がいい」と思うかもしれませんが、実は準備した人と準備しなかった人の差が非常に大きいのが再雇用の世界です。
「みじめだった」という声の多くは「何も知らずに受け入れた」ことへの後悔であって、事前に条件を確認し、副業を育て、専門性を磨いていた人からは「意外と悪くなかった」という声もよく聞きます。
定年は避けられませんが、定年後をどう生きるかは、50代の今から作っていけるものです。焦る必要はありません。でも、動き始めるのは早いほどいいですよ。
この記事は2025年時点の法律・制度をもとに作成しています。高年齢雇用継続給付金の縮小など、制度は変化していますので、最新情報は厚生労働省や社会保険労務士にご確認ください。


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