50代で賃貸 vs 持ち家、どちらが本当に得なのか?老後のお金を真剣に計算してみた

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「このまま賃貸でいいのか、それとも今から家を買うべきか」——50代になって、この問いが急に重くなってきた、という人は多いんじゃないでしょうか。

私もファイナンシャルプランナーとして、この相談を年間50件以上受けています。そして正直に言うと、「どちらが得か」という答えは人によってまったく違います。ただ、50代特有の視点で考えないと、30代向けの「賃貸vs持ち家論争」をそのまま引き継いでしまって、大切な判断を誤ることがあるんですね。

この記事では、50代が本当に知るべき「老後住居コストの現実」を、できるだけ具体的な数字と実例で整理してみます。


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50代の住まい、今どんな状況?

まず少しデータを見ておきましょう。

総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によると、日本の持ち家率は全体で60.9%。高齢者のいる世帯では81.6%にのぼります。「80代の8割が持ち家」というデータを見て、「やっぱり家を買わないといけないのか」と焦る50代の方が多いんですが——ちょっと待ってください。

この数字は「持ち家を選んだから豊かに老後を過ごしている」ことを意味するわけではないんですね。「昔は持ち家が当たり前だった時代の反映」でもあるわけです。今の50代が同じ判断をすべきかどうかは、まったく別の話。

かつては一定以上の年齢を重ねると多くの人が持ち家を購入し、50代を迎える頃には終の住処を所有しているのが一般的でしたが、現在でも50代で賃貸物件に住んでいるのは、どこか「恥ずかしい」と感じてしまう人もいるようです。

その「恥ずかしい」という感覚、一度横に置いてもらえると助かります。本当の問いは「老後のコストと安心を、どちらがより担保できるか」です。


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老後30年のコストを計算してみる

「感情ではなく数字で考えよう」ということで、ここが一番重要なセクションです。

ケース①:賃貸のまま老後を過ごした場合

月10万円の家賃で暮らし続けるとします。65歳から95歳の30年間で計算すると——

10万円 × 12ヶ月 × 30年 = 3,600万円

この3,600万円は、持ち家であれば住宅ローン完済後に発生しない、賃貸特有の大きな「住居費」リスクです。老後資金2,000万円問題がよく話題になりますが、住居費だけでその1.8倍の費用がかかる計算になるんですね。

さらに、引越しをするたびに礼金・敷金・仲介手数料がかかります。仮に70代で1回住み替えたとすると、家賃6ヶ月分程度の初期費用(60万円前後)が追加で発生します。

賃貸の生涯住居費(目安)

項目金額(試算)
家賃(月10万円×30年)3,600万円
更新料(2年ごと×15回)150万円
引越し・初期費用(1回)60〜100万円
合計約3,810〜3,850万円

ケース②:50代で持ち家を購入した場合

50歳で3,000万円のマンションを購入、15年ローン(65歳完済)と仮定します。

月々返済額(金利1.5%・15年):約約18.6万円

ローン完済後の固定費は、固定資産税(年10〜15万円)、管理費・修繕積立金(月3〜4万円)程度になります。

持ち家の生涯住居費(目安)

項目金額(試算)
ローン返済総額(15年)約3,350万円
固定資産税(30年分)約300〜450万円
修繕・リフォーム費200〜560万円
管理費・積立金(完済後20年)約720〜960万円
合計約4,570〜5,320万円

「えっ、持ち家のほうが高いじゃないか」と思いますよね。ただ、ここで見落としてはいけない点が2つあります。

  1. 資産価値として残る(売却・相続・リバースモーゲージに使える)
  2. 完済後の月々負担が激減する(月3〜5万円程度になる)

完済後の老後生活における月々の住居費の差は、賃貸10万円 vs 持ち家3〜5万円で、月5〜7万円。これが20年続くと、差額は1,200〜1,680万円になります。

つまり、単純な合計コストでは持ち家が若干高くなることもありますが、老後の月々キャッシュフローは持ち家が圧倒的に楽になるわけです。年金が月15〜20万円という前提で考えると、この差は「生活できるかどうか」に直結してくるんですよね。


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賃貸の最大リスク——「借りられなくなる」現実

ここが、50代の賃貸住まいの方に最も伝えたいポイントです。

高齢者が直面しやすいのが、賃貸契約の継続性の問題です。貸主側は、孤独死のリスクや認知症によるトラブル、または保証人を見つけにくいといった理由から、高齢者との新規契約や更新を拒否するケースが多くあります。

これ、理屈ではわかっていても、実感が湧きにくいんですよね。私が相談を受けたケースで、こんな方がいました。

Aさん(63歳・女性・単身)の場合

長年住んでいたマンションのオーナーが変わり、「更新しない」と通告されたのが62歳のとき。退職後・単身・収入が年金のみという状況で、新しい物件を探したのですが、なんと内覧した10件中7件で「審査が通らない」という結果に。結局、家賃が2万円上がる物件を渋々選ぶしかなかった、と。

「まさか、自分がこんなに苦労するとは思わなかった」と語っていた姿が忘れられません。

国土交通省住宅局の調査によれば、60代以降は民間会社の家賃債務保証審査が通りにくくなる傾向が見られます。老後も賃貸生活を続けるのであれば、50代を目安に最後の引越しを完了させるのがおすすめです。

「50代のうちに終の棲家を決める」というのは、賃貸を選ぶ場合でも同じ。残りの体力・収入・審査能力があるうちに動かないと、選択肢が急速に狭まっていくんですね。


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持ち家の落とし穴——完済後もお金は出ていく

「やっぱり持ち家だ!」と飛びつく前に、もう一つ知っておくべき現実があります。

数十年単位で住むのであれば、家の代表的な箇所を1回だけ修繕するとしても、マンションで200万円〜360万円、一戸建てで320万円〜560万円の費用が見込まれます。

私が肌で感じたのは、「修繕費の怖さ」です。以前、50代でマンションを購入したBさんの相談に乗ったとき、物件価格・ローン・税金はきちんと計算していたのに、給湯器の交換(約25万円)、エアコン2台の入れ替え(約30万円)、水回りのリフォーム(約80万円)が数年のうちに重なって「老後資金が一気に削られた」とおっしゃっていました。

持ち家で見落としがちな費用をまとめると:

費用の種類目安金額発生タイミング
給湯器交換15〜30万円10〜15年ごと
外壁・屋根塗装(戸建て)100〜150万円10〜15年ごと
キッチン・水回りリフォーム50〜150万円20〜30年に1回
エアコン全交換30〜50万円15〜20年ごと
マンション修繕積立金の値上げ月1〜3万円増築年数による

これらは「予想外の出費」ではなく、「確実に来る出費」なんです。持ち家を選ぶなら、修繕積立として毎月2〜3万円を別途貯めておく感覚が必要です。


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「賃貸で正解」だった人・「持ち家で後悔」した人の実例

賃貸で正解だった Cさん(58歳・夫婦・子なし)

Cさん夫婦は「転勤族」で、50代まで全国を転々としてきました。夫が定年後に生まれ故郷の福岡に戻ることが決まっていたため、「東京に家を買っても意味がない」と判断。賃貸を維持しながら、浮かせたコストをコツコツ新NISAに積み立てていました。

結果として、定年時に2,500万円の金融資産と退職金が揃い、福岡で現金購入に近い形でマンションを取得。「焦って東京で買っていたら、売却損で大変なことになっていた」と笑っていました。

ポイント:目的地が見えている人は、賃貸+積立で柔軟性を保つのが正解のケースがある。


持ち家で後悔した Dさん(56歳・女性・離婚後単身)

Dさんは45歳で離婚し、そのとき「老後が心配で」という理由だけで都内の中古マンションを2,800万円で購入しました。しかし55歳で会社のリストラに遭い、収入が激減。ローン残債が1,200万円残った状態で、「売るか、何とか払い続けるか」という苦渋の選択を迫られました。

「あのとき、もう少し冷静に計算していればよかった。感情で買ったのが間違いだった」と、相談室で話してくれたときの声が頭に残っています。

ポイント:収入の見通しが不安定な時期に、感情だけで買うのは危険。


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50代が今すぐやるべき「住まい決断チェックシート」

「自分はどちらが向いているのか」を判断するために、以下のチェックをやってみてください。

✅ 持ち家を選ぶべき条件

  • [ ] 65歳までにローンを完済できる返済計画が立てられる
  • [ ] 頭金が購入価格の20〜30%以上ある(50代からはここが肝心)
  • [ ] 今後10年以上、その地域に住み続ける見通しがある
  • [ ] 月々のローン返済後も、老後資金の積立ができる余力がある
  • [ ] 修繕積立として月2〜3万円を別に確保できる

✅ 賃貸を継続すべき条件

  • [ ] 転居の可能性が高い(転勤・親の介護・子の近くに住む等)
  • [ ] 健康上の理由で、将来バリアフリー対応の住み替えが予想される
  • [ ] 今後10年以内に大きな収入変動が予測される
  • [ ] 賃貸の「身軽さ」が精神的に重要で、ローンの重さが苦痛になりそう
  • [ ] 50代のうちに「終の棲家となる賃貸」に引越しを完了させる計画がある

この最後の項目、賃貸を選ぶ人はとくに意識してほしいんですね。高齢になると入居審査が困難になるため、50代を目安に引っ越しを完了させるのがおすすめというのは、賃貸継続派にとっても「今すぐ動くべき」理由になるわけです。


⚠️ 「第3の選択肢」も知っておこう

競合記事の多くが触れていない視点として、リースバックシニア向け賃貸も選択肢にあります。

  • リースバック:持ち家を売却して現金化し、その物件に家賃を払いながら住み続ける方法。老後資金が必要になったときに有効。
  • シニア向け賃貸(高齢者専用賃貸住宅):高齢者を前提とした物件で入居審査のハードルが低く、見守りサービス付きも多い。
  • サービス付き高齢者向け住宅(サ高住):介護が必要になってからも住み続けられる選択肢。

「持ち家か賃貸か」という二択だけで考えていると、この辺の選択肢が見えにくくなるので注意してくださいね。


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まとめ——「得か損か」より大切な視点

ここまで読んでいただいて、少し整理できてきたでしょうか?

コスト計算だけで見ると、「老後の月々キャッシュフローは持ち家が有利、総額はほぼ同等かケースバイケース」というのが現実です。ただ、数字より大事なのは、**「自分のライフプランに合っているか」**という問いなんですね。

競合記事を読んでいて感じるのは、多くの記事が「一般論」で止まっていることです。でも老後の住まいは、健康・家族・収入・地域という4つの個人差が大きく影響します。

私が相談者に必ず伝えることは一つ。「50代の今が、最後に選択肢の多い時期」ということ。60代に入ると、ローン審査も賃貸審査も一気に狭くなります。持ち家を選ぶにしても、賃貸を選ぶにしても、「今動く」ことだけは共通の正解です。


参考データ

  • 総務省「令和5年住宅・土地統計調査」
  • 国土交通省住宅局「家賃債務保証の現状」
  • 公益財団法人生命保険文化センター「2022年度 生活保障に関する調査」
  • 国土交通省「2020年度 住宅市場動向調査」

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