婚活している人の体験談は山ほどある。でも、婚活をしていない人が、友人たちの婚活を横で見ながら感じたことを書いた記事は、ほぼ存在しない。
そのことに気がついたのは、51歳の誕生日を迎えた週末のことでした。友人のAが結婚相談所に入会して半年、「もう疲れた」と泣きながら電話をかけてきたんです。私にはただ話を聞くことしかできなかった。でもその夜から、50代の婚活というものを、ひどく真剣に考えるようになりました。
私は婚活をしていません。でも、周りには婚活中の友人が3人います。その観察記録と、自分の内側で起きた変化を、正直に書いておこうと思います。
50代の「孤独」はなぜ急に来るのか
「寂しい」という感覚が、50代になって急にリアルになってくる。これ、友人たちを見ていると本当によくわかるんですよね。
30代・40代の忙しい頃は、子育て、仕事、親のこと……と目の前のことに追われていて、「孤独」なんてゆっくり感じている暇がなかった。でも50代になって、子供が独立したり、仕事のポジションが落ち着いたりすると、急に「空白」が生まれます。
友人のBは53歳のシングルマザーで、息子が大学で上京した翌日に「家がシーンとして、泣いてしまった」と話していました。実はその話を聞いた時、私も似たような感覚を覚えたんです。子育てが終わると、喜びよりも先に静けさが来る。
その「静けさ」に耐えられなくて婚活を始める人がいる一方で、その「静けさ」をそのまま受け入れて、自分一人の人生を再構築しようとする人もいる。どちらが正解、という話ではないんですよね。ただ、どちらの道を選ぶにしても、「孤独の正体」をちゃんと見つめることが先だと、外から見ていて強く感じました。
統計的には、50代前半(50〜54歳)で配偶者のいない女性は未婚・死別・離別を合わせて約30%。つまり3人に1人近くが「パートナーなし」の状態で50代を生きているわけです。これはもう、珍しいことでもなんでもなくなっている。
婚活している友人3人を見て気づいたこと
1年間の観察日記:Aさん(52歳・未婚)の場合
Aは結婚相談所に入会してから1年で、228人の紹介を受けたそうです。228人。正直、その数字を聞いた時に「え、そんなに会うの?」と口から出てしまいました(笑)。
でも、実際に話が進んだのはそのうち約3%、7人程度。さらにそこからデートになるのはまた絞られる。婚活は「出会いの数」だけを見ると多く感じるけど、実は精度の戦いなんですよね。
Aが口癖のように言っていたのは「条件じゃない部分を見るのが難しい」ということ。プロフィールで年収・身長・職業を見てから会う、という流れが続くと、人間をスペックで判断する癖がつきそうで怖い、と。これは婚活をしていない私でも「そうだよな」と思いました。
婚活パーティー20回で学んだこと:Bさん(53歳・バツイチ)
Bは最初、マッチングアプリをやってみたそうです。でもすぐに「同年代の男性に全然いいねが来ない」と気づいて、婚活パーティーに切り替えた。
最初の1年間で約20回参加。ほとんどカップリングできなかったと本人は言っていました。転機になったのは「50代限定・再婚歓迎」とうたったパーティーへの参加から。「同じ境遇の人が集まると、変に気を使わなくていい」と話していましたね。
ここが肝心ですよね。婚活の「場所」の選び方で、消耗度が全然違ってくる。若い世代と混在する場所で50代が戦うのは、体力的にも精神的にもきつい。
「若作りしすぎて浮いていた」「離婚理由を聞かれて正直に答えすぎた」「条件を気にしすぎて会話が楽しめなかった」——Bが語るこれらの失敗談を聞きながら、「婚活って、人間観察と自己観察の訓練みたいだな」と思いました。
婚活を2週間でやめた:Cさん(55歳・独身)の話
実は3人の友人の中で、私が一番長く話を聞いたのはCでした。Cは婚活を始めようとして、2週間でやめた人です。
「なんで辞めたの?」と聞いたら、「プロフィールを書こうとした時に、自分のことが何もわからなくなった」という答えが返ってきました。趣味は何か、どんな生活をしたいか、相手に何を求めるか——それを書こうとしたら、自分が50代になるまでの間に「自分の輪郭」を失っていたことに気づいた、と。
この話を聞いた時、私は胸がズキッとしました。婚活の前に、「自分を取り戻す作業」が必要な人がいる。それはむしろ、婚活そのものより大事なことかもしれません。
外から見えた「婚活あるある」の現実
年齢と成婚率のデータを直視する
データによると、50代女性の成婚しやすさは20〜30代の約50%の水準とされています。「半分の確率」という言い方もできるけど、この数字をどう受け取るかは人によって全然違うんですよね。
「半分しか望みがない」と感じるか、「半分は可能性がある」と感じるか。Aはいつも「まあ、宝くじよりは全然マシな確率じゃん」と笑っていました。その図太さが、長期戦に耐えられる理由なんだろうな、と思います。
「年齢で断られる」という経験の重さ
Aから聞いた話で、印象に残っているエピソードがあります。3回目のデートまで進んだ男性から「やっぱり年齢がネックで」と断られたそうです。年齢を理由に断られるのは、婚活では珍しくないらしい。でもその時のAの言葉が忘れられなくて。
「年齢で断られるって、ずっと努力して上手くなれない部分を否定されるみたいで、しんどいんだよね」
そうだよなあ、と思いました。努力でどうにもならない部分を繰り返し指摘されるのは、じわじわと精神を削っていく。婚活を「作業」として続けるには、相当のメンタルが必要なんですよね。
50代男性が「若い相手を求める」という現実
婚活中の友人たちが口をそろえて言うのが、「50代の男性が20〜30代を狙っている」という問題です。実際、結婚相談所でも50代男性の希望条件が「40代まで」と設定されているケースが多いとか。
これは50代女性から見ると「ライバルが若い」という話になる。確かにしんどいですよね。でも一方で、50代男性の側にも「自分の市場価値」を見誤っているケースも多い。「年収がある」という一点で30代女性に選ばれると思っているとしたら、少し楽観的すぎるかもしれません。
女性が求めているのは「安心感」と「穏やかな日常」だったりするわけで、スペックではなく「人間性」が問われる部分がむしろ大きいんですよね。
「婚活しない」私が考えた、50代のパートナーシップ
求めているものが根本的に変わる
私自身が婚活をしていない理由は、一言では言えません。「いいパートナーがいれば嬉しいけど、いなくても困らない」という、ふわっとした状態が正直なところです。
でも友人たちの話を聞きながら、ひとつ確かなことに気づきました。50代のパートナー探しって、20代・30代のそれとは、求めているものが根本的に違うんですよね。
20代は「ときめき」を求めるでしょう。30代は「安定」を意識するかもしれない。でも50代になると、多くの人が求めるのは「安心感」と「穏やかな日常」。Bが婚活パーティーで出会いを探しながら言っていたのは「恋愛映画みたいな展開はいらない。夜、誰かと夕飯を食べられればそれでいい」でした。
この感覚、すごくわかる。むしろ、その「シンプルな欲求」に正直になるのが50代の強みだと思います。
「婚活しない」にも社会の目はある
婚活しない選択にも、それなりのプレッシャーがあるんですよね。同窓会でふと「まだ独り?」と聞かれる。親から「老後が心配」と言われる。そういう外からの声に、いちいち傷ついていた時期が私にもありました。
でも最近は「傷つく必要ない」とわかってきた感じがします。50代男性の未婚率は26.6%(50〜54歳)、女性は16.5%。それだけの人が「一人で生きている」わけで、それが「失敗した人生」のわけがない。
婚活を始める前に確認したい3つのこと
友人たちの3年間の婚活を横で見てきて、「これだけは言いたい」と思ったことがあります。
「孤独が怖い」と「誰かと生きたい」は別の動機
孤独が怖いという動機だけで婚活を始めると、誰でもいいから埋めたいという焦りが出てしまいます。これが婚活疲れの大きな原因になるんですよね。自分がなぜ婚活したいのか——その動機を正直に見ておくことが出発点です。
「ゆずれないこと」を3つだけ決める
条件を多く持ちすぎると、前に進めなくなる。「ゆずれないこと」を3つに絞って、あとは柔軟に。Bが再婚後に語っていたのは「『清潔感』『会話が続く』『価値観が似ている』この3つだけ決めたら、自然に絞れた」でした。
「休んでいい」と最初に決めておく
婚活に疲れたら、いったん休む。これが言えないまま続けると、どこかで無理が出る。婚活は「義務」じゃありません。Aも途中で2ヶ月休憩したそうです。「休んで戻ってきたら、また会いたいと思える人が出てきた」と話していました。
まとめ——50代のリアルは、選んだ道の先にある
婚活しても、しなくても、50代のリアルはそれぞれの「選んだ道」の先にある。婚活して成婚した人が幸せで、しなかった人が不幸というわけじゃない。婚活して疲弊しながら、「自分がどう生きたいか」を知った人もいる。婚活せずに、一人でいることの豊かさを見つけた人もいる。
結局のところ、50代の婚活のリアルって、「相手を見つけること」よりも「自分と向き合うこと」に近いのかもしれません。
Aが成婚した翌月、「婚活中の1年が、人生で一番自分のことを考えた1年だった」と言っていました。それを聞いて、なんか少し羨ましくなったんですよね、私も。婚活しなかったけど、あのくらい自分のことを真剣に考える時間を持てたかな、と。
50代って、本当はすごく面白い年代だと思います。焦る必要はありません。ただ、自分の声に正直でいてほしい——婚活するにしても、しないにしても。
この記事は、婚活中の友人たちへの取材と観察をもとに書いています。登場する人物は本人の許可を得た上で、一部情報を変えています。
よくある質問
Q. 50代で婚活を始めるのは遅いですか?
遅くはありません。50代男性の未婚率は26.6%(50〜54歳)、女性は16.5%と、同じ状況の人は多いです。ただし、結婚相談所やマッチングアプリを選ぶ際は、同年代が多いサービスを選ぶことが重要です。
Q. 婚活と恋活(恋愛活動)は違いますか?
目的が異なります。婚活は「結婚」がゴール、恋活は「恋人を作ること」がゴール。50代になると「まず一緒に過ごせる人が欲しい」という気持ちから、恋活スタートが合っている人もいます。
Q. 婚活をやめる判断はどうすればいいですか?
「義務感だけで続けている」「会うたびに消耗している」「自分が嫌いになってきた」——この3つのうちどれかを感じたら、いったん休憩のサインかもしれません。婚活は長距離走なので、ペース配分が大事です。


コメント